体験企業紹介2:株式会社ダンクソフト

○実施企業
株式会社ダンクソフト(http://www.dunksoft.com/

○体験談
企業向けの大規模Webサイトの運用に加え、ソリューション事業、アプリ開発なども手がけている株式会社ダンクソフト。平成17年に社員が病気で出勤できなくなったことから、テレワークという「新しい働き方」で在宅勤務の仕組み作りをスタート。平成23年の東日本大震災を機に、BCP(事業継続計画)という観点から都心以外にもサテライトオフィスの設置を進めており、現時点で日本国内外10カ所に設置しています。こうした取組を進める中で、改めて気付いたのは「地域とのつながり」だという株式会社ダンクソフトの板林淳哉エグゼクティブマネージャーに、平成29年1月上旬、テレワークやサテライトオフィスを活用する取組についてお話を伺いました(掲載内容は取材当時のもの)。

――御社がサテライトオフィスを立ち上げようと思ったきっかけと、立ち上げまでの経緯を教えてください。

平成23年3月に発生した東日本大震災が一番大きなきっかけです。弊社でも不規則に発生する停電や通勤困難な状況の中、業務はもちろん人間関係の部分でも精神面でも大きなストレスを抱えていました。そんな中、テレワークができる環境があるというだけで、万が一、次に何か災害が起きたとしても、仕事を続けていくことができると分かり、ストレスはぐっと軽減されました。

そのテレワークが今後必要とされる働き方であると実感できたのは、県全域にブロードバンド環境を備える徳島県をご縁があってご紹介いただき、平成23年9月と11月にサテライトオフィス実証実験を行った時でした。徳島県神山町の築80年を超える古民家にサテライトオフィスを設置し、東京と神山町という遠隔地で部署単位やプロジェクト単位の業務を行ったのです。それによりサテライトオフィス運営に必要な技術や要素、費用対効果を分析できました。
 
(住み込みテレワーク事前打ち合わせ時の北海道別海町での様子)

――平成28年8月には、御社の社員が別海町に約1ケ月間住み込み、テレワークを活用して東京本社のチームメンバーと一緒にサイトを作り上げていくという試みも実施されたそうですね。

別海町でWEBサイトを作成する仕事をいただけたからです。地元の酪農家さんが情報発信をしていきたいという要望があったのですが、近くにそれを手伝える人がいない。我々はテレワークで仕事ができることを実証済みでしたので、現地に行って仕事をするのが一番いいのでは?という話になりました。

(北海道別海町のサテライトオフィスの様子)

物理的に遠隔で取材できる環境もありませんでしたし、何より現地で酪農家さんを直接取材するほうがより想いが伝わるサイトになると思ったんです。ある程度の期間滞在することで、しっかり人間関係を作った上で、サイトを作り上げることにしました。
別海町に行った社員は、東京で働いている時も普段から在宅勤務やWEB会議をしていたので、不安などはあまりなかったようです。会社には遠隔で働くことに対して不安がある社員はいないのですが、仕事ができる環境を整えるための準備はしっかりしていきました。

――平成23年の徳島のサテライトオフィス立ち上げから現在に至るまで、サテライトオフィスを活用したテレワークという働き方で、社内の雰囲気は変わりましたでしょうか?

我々は、サテライトオフィスありき、テレワークありきではなく、以前から「ワークライフバランスを大事にしたい」という思いで社員の働く環境改善についての取組を行ってきました。現在の社員も大半が、弊社の取組を知った上で入社してきています。テレワークで一緒に働きたいという仲間も増えましたし、ビジネスにも広がりができたと思っています。

育児や介護に関わる社員が、休まなくても仕事を続けられる、そしてベテランの社員も仕事を辞めることなく、ブランクを感じることもなくなったという点では、開かれた働き方という認識をみんなが持つようになりました。

――優秀な人材を確保する上で、サテライトオフィス勤務や在宅でのテレワークといった柔軟な働き方は有効な手段だと思われますか。

それは当初から感じていますね。東京などでは、IT企業は優秀な人材を採用するのが難しい状況です。人材派遣会社に人材募集を依頼しても、こちらの思いと人材がマッチングできない場合も少なくありません。ところが、こういう活動をしていることを様々なところで見聞きした人が「こんな働き方はできないだろうか」「ここで働いてみたい」と応募してきてくれるケースも増えています。

(北海道別海町のサテライトオフィスの様子)

――社員の方から新たな働き方の要望が出てきたら、サテライトオフィスのある地域を増やしていくこともありますか。

基本的には、サテライトオフィスを利用した現時点での働き方がベストだとは思っていません。今いるメンバーの要望や、その時代の環境によってどんどん変化していかなければ、長く仕事を続けていくのは難しいと考えています。クラウドの環境が整った時代だからこそ、地方でも在宅でもテレワークで仕事ができる。コストもぐっと抑えてできるので、柔軟に継続してやっていきたいですね。今は国内外併せて10拠点ですが、2020年までに20拠点くらいになればいいなと思っています。場所ありきではなく、ご縁があって、そのご縁がつながって、20拠点くらいに広がっていくことが社長を含めて社員共通の思いです。

――最後に、今後の展望や課題についてお聞かせください。

単純に人材確保を目標にするだけでは、サテライトオフィスを継続して運営していくのは難しいかなと思います。うちも長く続けて上手くいっているなと思うのは、地域とのつながりとか人間関係をうまく築けているところです。単純にオフィスという機能だけではなく、地域のコミュニティが、ICTやテレワークを介して広がっていくと感じていますし、もちろんビジネスも広がっていけばいいと思っています。

――ありがとうございました。